2012/05/27

先生♬逝く

音楽評論家の吉田秀和さんがお亡くなりになりました。

音楽にあまり馴染みのない方はぜーんぜんピンと来ないかもしれませんが、吉田秀和先生は戦後の日本の音楽界のドンです。
評論家なので楽器を演奏するわけでもなく、作曲をするわけでもなく、奏法を教えるわけでもありませんが、クラシック音楽界では誰もが大先生と呼ぶ方。

戦後、日本の音楽のレベルを上げようと、誰よりも早く音楽専門の教育機関『子供のための音楽教室』(現在の桐朋学園音楽部)を創設した先生です。
私は幼稚園に通わず、この『子供のための音楽教室』に通っていました。



仙川の桐朋学園音楽大学の中にある薄暗い防音の教室で習っていたことをかなり鮮明に憶えています。
ある日、ピアノを習っていた幼児全員に小さなヴァイオリンが手渡され、いきなりヴァイオリンのレッスンが始まりました。
私は押してならすピアノとは全然違うギーコギーコのノコギリ演奏を楽しみました。
が、楽しいギーコギーコはその日限り。
私に絶対音感がないことが分かり、私はそのままピアノを続ける事に、絶対音感を持っているであろう子は、ヴァイオリンに転向していきました。
4才か5才の時のことです。

限りなくネイティブに近い英語を喋れるようになるためには3才からホンモノの英語に触れていないとダメだとか。音楽も同じでしょうね。
バレエ以上に、音楽は早期教育が大切だと思います。
耳が育たない事にはいい演奏もできないでしょうから。

吉田秀和先生が創った『子供のための音楽教室』の第一期生には小澤征爾さんがいらっしゃいます。
そんなすごい所で生まれて初めてのドレミ♪を教えて頂いたんですね、私は。

その後、私はバレエの稽古が忙しくなってしまい、ピアノは辞めてしまいました。
が、今日、吉田先生のご逝去のニュースを耳にして『子供のための音楽教室』に通っていた人間として恥ずかしくない踊りをしないと、と思いました。
踊りには音楽が欠かせません。

あの頃、音楽に触れていなかったら、今こうしていなかったでしょう。
これからもずっと、あの頃のドレミ♪を忘れずにいようと思います。